NY観光初日最大のイヴェントはかつてJazzの巨匠たちが名演を残したVillage VangardでのLiveです。
 
私の日本の家のレコード(CDではなくアナログレコード)棚には、思いつくだけで以下のVillage Vangardでの演奏があります。特にVillage Vangardを狙って購入したのではないのですが、結構持っているものですね。自分でも驚きました。まあ、それだけ名演が多いということなのでしょう。
 
①John Coltrane Live at the Village Vangard
②John Coltrane Live at the Village Vangard again
③John Coltrane Impressions
④Bill Evans Waltz for Debby
⑤Bill Evans Sunday at the Village Vangard
⑥Michel Petrucciani Live at the Village Vangard
⑦Art Pepper Friday Night at the Village Vangard
⑧Great Jazz Trio (Hank Jones) At the Village Vangard
⑨Junko Onishi Trio at the Village Vangard
 
どれも素晴らしい演奏であるとともに音も良くて聴き入ってしまいます。Jazzをあまり聴かれない方は④、⑥、⑧をYou tube等でお楽しみください。特に④はSome Other Timeという曲の終わりの方に観客のくしゃみが録音されています。咳や話し声は色々なライヴ版で聞くことができますが、くしゃみは珍しいと思います。
また、Jazzをこよなく愛する方には上記③のIndiaをお奨めします。これぞ神です!!
 
さて、話を戻しましょう。まずは店の前の雰囲気の写真をどうぞ。
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店の前の通りは7th Aveで、この道をまっすぐ北へ進むとタイムズスクエアの中心部に行けます(歩いて30分、地下鉄で10分弱です)。 
 
この日は世界的に有名なピアニストであるKenny BarronのLive。
私は彼のソロアルバムを1985年くらいに聞いて衝撃を受け、すぐにScratchというトリオ演奏のレコードを購入しました。やや地味だけど私は時折輝くピアノタッチが大好きです。
 
事前に22:30からの2nd Setを電話で予約。Webpageは1か月以上前でないと予約できないということで、電話でチャレンジ。もともとニューヨークの人の英語は苦手なので、ドキドキしながら予約しましたが、相手が外人慣れしているようで、スムーズでした。
 
席は早く来た者勝ちということで、例のブルックリン・ブリッジの写真を撮ったところからぶらぶらと写真を撮りながら5kmほどを歩いて行き、21:30頃に到着。既に20名ほどが並んでいました。
Door Openの22:00に階段を下りて地下の部屋に通されます。(地下に行くというのがJazzらしくてそそられます)
 
店の中はこんな感じ!!因みにこの写真、結構明るく写っていますが、ISO12800、絞りF1.6で1/40の露出です。
普通のカメラではちょっと厳しい明るさです。
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実はこの写真、演奏後に撮ったものなので、観客はいませんが左側のスキンヘッドの親父がKenny Barronです。
かぶりつきの席もあるぞと言われましたが、私は部屋の雰囲気がよくわかる右手側を希望しました。
 
そこからの写真は以下の通り。
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上はステージを見たもの。私の席と同じレベルにあります。
下は観客席。
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最後方にはバーカウンターがあり、そこでバーテンダーと話をしながら肩越しにジャズが聴けます。
100人ほどの収容能力でしょうか。当然ながら満席でした。
客層はご覧の通りで白人が多く、ついで黒人が10名ほどで日本人が2組いました(関西弁が聞こえた)。
 
小さなテーブルをご覧になればお分かりのようにここでは食べ物を出してくれません。飲み物だけです。
私はグレンフィディック(シングルモルトスコッチ)をオンザロックで注文。価格は$15ドルと日本のバーで飲むより若干高めでしたが、ダブル以上の量が入っており、結果的には日本で飲むより安かったです(消費税も殆どついてなかった)。
 
私の席の壁にはColtraneやEvansの写真が、、。
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日本でもこういったパネルは珍しくありませんが、彼らが本当にここで素晴らしいセッションをしたかと思うとこみ上げて来るものがありました。
 
さて、演奏が始まりました。
演奏中は撮影禁止ということで残念ながら写真はありませんが、ほんとに素晴らしいものでした。
 
編成はフルート、ビブラフォン、ピアノ、ベース、ドラムのクインテット。
フルートはまだ大学を出たばかりといった感じの可愛らしい女性(確かElenaと言っていた)でテクニックは結構ありそうでした。たぶん一流大学卒なのでしょう。それからベースは北川潔という日本人でした。
 
一曲目はBarron作曲New York  Attitude。ゴリゴリの4ビートジャズで、観客も日本人を含めた一部を除き超ノリノリ!!
単調になりがちなElenaのフルートソロをさり気なく強いビートでサポートしながら刺激するBarronがめちゃめちゃかっこいい!!
北川潔のベースも安定感抜群で私の好みのプレイをしてくれました。
お目当てのBarronは80年代と変わらず素晴らしい演奏で、大御所と呼ぶのにふさわしい、、。若手を育ててやろうといった感じが何とも微笑ましかった。
 
音響がこれまた素晴らしくて名盤が生まれる理由もよく分かりました。
 
曲は他に「朝日のようにさわやか」にといったスタンダードや緩いバラード。ピアノソロもあって多彩で楽しめました。いや、感動しました。
これまでJazzの演奏を聴いていて痺れて呼吸困難になってしまったことが何度もありますが、今回のはそれと異なり、店の独特な雰囲気に呑まれ、自然に涙が頬にこぼれて行く感じ、、。(ほんとに涙が出ちゃいました。)
 
また、ウエイトレスもフレンドリーでかつ、演奏を聴いている我々を邪魔することなく上手に注文を聞きに来ていて好感が持てました。
Bill EvansのWartz for Debbyにはナイフやフォーク、皿を重ねる音やビンの音、それからドアの軋み音などが収録されていてそれが臨場感として一役買っておりましたが、前述のように今では皿やナイフは出てこないし、ウェイトレスも音を立てないよう配慮していることに加えてドアも軋まないので、そういった音の再現は無かったです(笑)。
 
こんなに凄い体験ができてカバーチャージは$30。安いですよね。
他の日にも行こうと思って電話したけどすべて満席でした。ほんとに残念。