テキサス・スター・パーティから戻ってまいりました。
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僅か2日間の参加でしたが、結構印象的な出来事がありましたので追ってご紹介します。


まずは多くの方が気にされているプレゼン(双望会と日本の望遠鏡の紹介)の結果から。


写真は私たちの前に行ったイギリス人のプレゼンを聴きいっている人たちです。

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プレゼンはこれまで私のブログでご紹介した日本の特徴、双望会、ドブ、NinjaBinoの順に行いました。


各スライド毎の説明のポイントとそれに対する聴衆の反応を括弧書きで書きます。


質疑応答は説明が終わってからまとめてありました。


①日本はテキサスから直行便で12時間、広さはテキサスの1/2で人口は5倍。(なるほどとか、知ってるよとかいった感じ)

②日本は光害がとても強く夏は蒸し暑く冬はシーイングが悪い。でも皆頑張って天文やっている。(同上)

③双望会は毎年行っている日本のスターパーティの一つ。双はTwin、望はTelescope、会はMeeting又はパーティという意味。つまり双眼望遠鏡がたくさん集まるイベントである。(なるほど)

④定員は80名で参加申し込み開始後僅か1時間くらいで一杯になるほど人気がある。会場は狭く、アイスホッケーリンクの広さくらいのところに100台くらいの望遠鏡がセットされ、とても込み合っている。(驚いている人とか想像できているよといった人とか、、。)

⑤会場には12インチくらいから26インチのドブも並ぶ。どれも小さな車で運ばなければならない。utoのドブはコンパクトカーに収まり更に計5人の人を運ぶこととができる(5人運べると言ったところで驚きの声が上がる。初の大きなリアクション)

⑥多くの日本のドブユーザーはテレビューやギャラクシー、アストロシステムズといった米国製品を使っている(うなずくだけ)

⑦日本にはNinjaという簡単に分解・組み立てができ、光軸も狂わない望遠鏡がある。(うなずく程度で大きなリアクションなし。もっとインパクトがある表現が必要だったか。)

⑧日本の文化の一つと説明しながらすずさんの萌えNinjaを紹介(大爆笑!狙い通り)

⑨わたなべさんのオール手作りカセグレンの紹介(感心していた様子)

Binoは自然だし疲れないし良いぞ。My God, It’s full of starsだ。(会場から2001年宇宙の旅だね。知ってるよとの声が上がる)

⑪でも結構調整が難しいだよね。(うなずいている。わからないという顔の人も結構たくさん。)

⑫松本さんはユーザーがあまり調整することを必要としない素晴らしいEMS正立マウントを約30年前に開発し、市場に出している。大変クオリティが高く多くの日本のBinoが彼のマウントを使っている。(うなずいている)

⑬⑭山本さんは反射望遠鏡の調整方法を検討し、55cmの双眼望遠鏡を作った。(人間よりはるかに大きい望遠鏡の写真を見た瞬間、大きな歓声が、、。でも良く見えるのかな?という独り言みたいな声も幾つか、、。)

⑮服部さんや岡本さんは日本の双眼望遠鏡の象徴となるような25cm双眼を作った。(機能とかを説明したが、うなずく程度。これも紹介した写真の選択がいま一つだった。たぶん、、。)

⑯テレビューやタカハシのトリプレットといった高品質な望遠鏡を使った双眼も多数ある。(大きなリアクションなし。)

⑰小さい双眼もあるよ。と言いながら蒼い星さんが以前に双望会で紹介された鼻と付け髭もあるメガネみたいなテレコンビノを見せたら爆笑。)

⑱ヤスさんが昨年の双望会で撮影された太陽の写真を見せながら双眼視は昼間の明るいところでも活躍していると説明。(太陽の写真に釘づけの人も、、。)

⑲今年の双望会は11月に行われるので是非参加して欲しいと要請。侍がカウボーイハットをかぶっている漫画に軽い笑いが出る。)


会場には60名を超す聴衆が集まっていました。私たちの前にはイギリスから参加の人が車が小さいとか雨が多いとかいった我々と同様なアプローチをしながら望遠鏡を制御するソフトウェアの紹介をしましたが、技術的にかなり細かい突っ込みがあってました。


次は私のプレゼンに対する全質疑応答結果を紹介します。


Q:太陽の写真はBinoで撮ったのか?

A:写真は単眼で撮った。


Q:双眼で写真撮影するメリットはないのか?

A:特にないと思う。若干のイメージをずらして3D映画のような立体視を作ると面白いが、、。


Q:シャキールとutoはどうやって出逢ったのか?(爆笑)

A:シャキールが長々と喋ったがここでは省略(もっと面白いことを言って欲しかった。顔を見た瞬間、これは運命だと思ったとか、、。)


Q:何故テレビューみたいな高価な高品質望遠鏡に多額のお金をつぎ込んで双眼にするのか?どこにメリットがあるのか?

A:アドバンスド・オブザーバーはより高品質で見やすいものが欲しくなるのだと思う。(あまり納得していない様子。双眼視がより高品質だと思っていないようだった)


Q:双眼装置で充分じゃないか?(一人が質問したが、周りも大きくうなずいていた)

A:双眼装置はプリズムによる劣化があるし、光を2つに分けてしまう。その点、双眼望遠鏡特に良質なEMSを使ったものは良い。(そうかな。といった感じのリアクション。ロンキー写真も見せたけど伝わったかわからなかった。)


Q:日本は星を観る環境があまりよくないということだが、小惑星や彗星、超新星の発見者が多いのはどういうことか?

A: They work hard! (大爆笑)。日本人は勤勉であることに加えて各自が天体を検出・確認できるシステムを構築しているからである。


Q:もし、今日紹介してもらった望遠鏡が欲しくなったら日本に行くしかないのか?

A:EMSNinjaも海外に輸出している。EMSは英語のウェブサイトもある。


 

プレゼン後、一人の人が早速松本さんのサイトを見つけて「これか?」って聞いてきました。興味を持った人もいるようで良かったです。

 


皆さんも予想されていたかもしれませんが、やはり言葉での説明だけでは、良さがうまく伝わりませんでした。


双眼望遠鏡に対するネガティブな反応はありませんでしたが、私は必要性を感じないという人が大多数だったようです。


後で調査してみるとプレゼンの聴衆者の多くは大型のドブユーザー又は写真マニアで、ハッブルのイメージと同じものが観たいとか銀河からのジェットの噴出を確認したいといったDeepな人たちでした。。


(明るい星団を観たり天の川を流すという行為をする人は見かけず、興味の方向性が日本の人たちと違っているようでした。これについては後日レポートします。)


それから会場には自作の望遠鏡がほとんどなくしかもクラシカルタイプのトラスドブが圧倒的で、自作にもあまり興味を持っていないようでした。


たぶんテキサスという土地柄、超保守的で若者でさえあまり革新的なものに踏み込まないのでしょう。


プレゼン後に話しかけに来た人がいましたが、双眼望遠鏡のことではなく、私の仕事(構造設計)関係の話でした。(NASAのエンジニアで爆発したスペースシャトル・コロンビア号の事故調査をしてNY Timesに説明を載せた偉い人だった。)