昨日、天気が良かったので、先日製作したミニ・ヒンジ・トラッカーを試してみました。
まずはNikon1 ミラーレスカメラ18mmのレンズ(フルサイズ49mm相当)を用いたものから。
イメージ 1
F2.8、露出62秒、ISO1600。
いつもより透明度が良く、肉眼で楽に3等星が見えていましたので、この程度の露出でも結構写っています。
ピクセル等倍で見ると微光星の形が乱れてやや見苦しいのですが、大きく拡大しない限りそれほど目立ちません。

実はこの写真を得るためにいろいろ試行錯誤がありました。極軸を合わせ直したり、バランスを確認したり、、。で最も効果的だったのが駆動ネジを回す速度の変更。

当初はスペック上のネジのスレッド・ピッチ(1/32=0.03125インチ)と金具のヒンジ点からネジの頭までの距離からネジを45度回す時間を10秒としてチャレンジしましたが、星像が流れてしまいました。
そして幾つか時間を変えてトライし、12秒(少し遅く回すの)が最適だと判断しました。

理論値と2割もずれるなんておかしい!と撮影後に次の日が会社であるにもかかわらずに検討を実施。


まず疑ったのはネジのピッチ。用いているネジは長さ1インチ(25.4mm)の間に32個のネジ山があるタイプなのですが、撮影で使うのはネジ山ひとつだけ。
ですのでピッチの公差が結構効いてきます(平均化されない)。
でもスペックを調べたら公差はせいぜい0.02ミリ(0.0008インチ)程度で上記の0.03125インチに比べて極めて小さい。
ネジの色々な部分を使って撮影したところ同様の結果でしたので、ネジのばらつきは関係なかったようです。


次は駆動するネジの進行方向がヒンジの天板(カメラと雲台を載せる部分)の回転運動の接線方向となっていないという点。
でも底板と天板がなす角がたいへん小さい為、理論解との2割の差を埋める要素なし。(そもそもこの角度が問題ならばネジをもっと早く回さなければなら無い筈)


天板のたわみ量も確認してみました。
前回紹介した式に数値を代入すると最大のたわみ量はヒンジの中央で0.0001インチ(0.0025mm)程度。
程度と書いたのはヒンジの板厚とカメラや雲台の重量を適当に推測したからです。

この0.0001インチはもちろん塑性(永久)変形する大きさではないし、一回の撮影で天板の駆動端の移動距離0.03~0.04インチに比べて極めて小さいので影響なし。
(たわみが問題ならやはりネジをもっと早く回す必要があるのでこれも関係なし。)


手詰まりかな?と思いながら初心に返り、現物をしっかり観察していたらひらめきました。
下の写真に示すようにカメラと雲台が天板を捩じっています。
イメージ 2
黄色い矢印がカメラと雲台の重量。それがヒンジから外れた場所に作用するので、赤い矢印のねじり荷重が天板に発生しています。
写真一番手前側のネジによる駆動部はこのねじり荷重に対抗できず、駆動ネジから離れるように天板が変形します。
おそらくこの変形がネジの駆動の手助けをしていたのでしょう。

ああ、すっきりしました。
この事象を定量的にシミュレートするにはFEM(有限要素法)を用い、がたを模擬したギャップ要素やヒンジ部の摩擦を考慮する必要があり、手計算やエクセルでは解けません。ということで、考察はここまで。

調子に乗って中望遠でも試してみた撮影結果を紹介します。
イメージ 3
フルサイズ81mm相当。F4で62秒露出。ISOは1600。

次は119mm相当。F4で44秒露出。ISO1600。
イメージ 4
強拡大しなければそこそこ見れるでしょ。

繰り返しますが、雲台を除いた製作費600円程度、製作時間30分のポタ赤とミラーレスカメラでこれだけ写すことができました。

この中庭では色々なタイプの照明が使われていたので、ホワイトバランス調整があまりうまくいきませんでした。ご容赦ください。