Load pathの話の前に一般的なトラス式ドブソニアンの強度について書きます。
 
この強度という言葉は巷で何気なく使われていますが、材料力学や構造力学を学べば学ぶほど一言では語れないことが判ってきます。
でもこのブログは専門書ではないので、ここでは以下の3つの強度に関するざっくりとした考察をします。
 
①破断強度
破断強度についても数十ページの論文が書けるくらい複雑ですが、ドブソニアンの各構造部位に作用する曲げや引張荷重による引張応力が、材料の持つ引張許容荷重に達するか否かを計ることにします。
 
②降伏強度
荷重により部材が0.2%の永久変形する時の引張許容応力をチェックすることになりますが、ドブソニアンで強度が特に厳しい部位は通常アルミか鉄が用いられており、それらの降伏許容応力は破断応力の80%強なので、破断強度に関して充分なマージンがあればよしとします。
 
③疲労強度
荷重が繰り返し作用すると破断や降伏荷重よりも小さな荷重で構造物が壊れることがありますが、これについても破断荷重に対して充分なマージンがあれば大丈夫であると判断します。
 
では、代表的な例として外径20mm, 内径18mmのアルミパイプ4本を用いたフレーム式ドブの先端に10kgの重量が作用する時の強度を確認します。
この10kgというのは斜鏡、斜鏡支持構造、アイピース、Upper Cage等の重量を模擬したものです。
最も厳しいのは筒が水平になっている場合で、その時アルミの根本(ミラーボックスとの結合部)が強度上の標定部(強度を確認する必要がある部位)になります。
荷重による曲げモーメントと断面2次モーメント等の関係から求めた結果を以下の図に示します。
イメージ 1
 強度率γはなんと102
破断荷重に対して101倍の強度余裕があるということになります。
4本のアルミ棒が一体化して根元で壁に固定されるよう上手に製作すれば、ふた昔前の軽自動車くらいは乗っけられることになります。まあ理論通りの製作なんてできっこなく載せられるのはその数分の1の力士くらいかな
 
通常大型のドブは6本か8本のパイプによるトラス構造ですので、強度余裕は上記よりもはるかに高い。
つまり、よほど奇抜な構造でない限り、ドブソニアン望遠鏡は強度が問題となることはありません。降伏強度、疲労強度についても。

ここでは計算をしていないミラーの支持構造でも強度が問題になることはありません。
重量が20kg以下の鏡なんて、段ボール箱ででも運べますからね。
 
では何に着目して設計をすべきか?
それは変形です。
望遠鏡の変形は光軸のずれを引き起こすので重要な問題です。
 
因みに上の図で変形に関するチェックも行ったところ、0.1mmという値が出ました。
0.1mmは小さいと考える人も多いと思いますが、構造のがたやすべり、局部変形が生じると容易に数ミリの変形に達します。
 
次回以降は変形を少しでも防ぐということを念頭に話を進めていきます。