今回の記事はかなり専門的です。
詳細について興味がある方は双望会等の機会で議論しましょう。

では本題です。
ミラーボックスの重要な役割の一つが鏡の変形させないように支えること。
鏡を水平に置いた状態で上下(光軸)方向(専門的には面外方向と言います)The Dobsonian Telescopeに倣い18点支持(下の写真の茶色い円盤)にし、鏡を傾けた時に発生する重量の面内(光軸と直角)方向成分はベルトで支持することにしました。
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18の支持点は滝星図の滝氏(私の以前の上司)らによる有限要素法(FEM)にて解析された結果によるもので、製作前に滝氏と話をし、18点も必要ないんじゃないかという意見も出ましたが、支え方がわかり易い構造でしたのでこれを採用しました。
鏡の支持のポイントは支持点3ヶ所を一つの組にして他の組との面外方向での位置関係を保ちながら若干のアジャストができるようにしておくことです。
難しく書きましたが、一言で言うと片当たりを防ぐ構造にするということ。
支持点18個全てが同じ平面内に位置させることはかなり難しく、また、支えられる鏡の裏も全体が綺麗な平面を形成しているわけではないので、こういったややこしいことを考えなければならないのです。
その為、3ヶ所の支持点があるおにぎり型の板の中心部や2個のおにぎりを繋ぐプレートの中間部にはわざとガタを持たせて主鏡の裏面にぴったりフィットするようにしています。
3点ずつに分けるのは、平面が3点により定義でき、4点では1ヶ所が必ず浮いてしまうという幾何学を元にしています。
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また、18ヶ所の支持部には厚さが変化できるパッド(家具スベール)を適用し、ガタだけでは対応できない面外方向の位置ずれを吸収できるようにしました。
 
鏡の面内(周方向)支持のベルトは2か所のボルトで吊るようにしており、一方はベルトを巻き込む機能を有し、ベルトの長さ調整ができます。

光軸修正を容易にするための工夫もしています。
フレームにナットを溶接しております。また、光軸修正ボルトの回転によって主鏡支持構造からの緩みをなくす為にナットとボルトに穴をあけて割ピンを刺しています。