ORP常連で私の友人(と私は思っている)Howard BenichS&T誌の12月号に興味深い記事を書いていました。
それと私の経験を元にトラペジウム付近(HowardHuygens (ハイゲンス) Regionと呼んでいる)の眼視観測時の色についての考察をします。
 
下の写真は私が空の明るい自宅で45cmドブを使ったコリメート撮影したものです。(私が撮影)ISO16002秒露出。
イメージ 1
 
まずは私の経験を書きますね。

①街灯が多く明るい自宅でM42の色(青緑と赤銅色)を何度も確認できている。(45cm with Paracorr & Naglar4-22mm使用の106倍、射出瞳4.3)
赤銅色が見えたのは主に透明度が悪くで空が白っぽい時が多い。

②空が暗い郊外ではM42の赤銅色を感じたことが殆ど無い。(Huygens Regionの青緑色は認識していたが)。

③郊外で明るいガスの部分を凝視した後、暗いガス又は恒星に目を向けると鈍い赤っぽく見えることがある。

④インターネットが普及する前の私の学生時代に、広島の片田舎で一度だけ鮮やかなピンク色を認めたことがある。機材は高橋の16cm反射、コレクターレンズとOR24mm使用の42倍(射出瞳3.8)。
望遠鏡を外に置いたまま薄暗い部屋でテレビを見ていて、見終わった直後に目の暗順応もしないままアイピースを覗いた時だった。
当時は肉眼で色が見えるなんていう知識が無く、とても驚いたことを覚えている。(星の知識が無い学校の先輩も同様に色が見えていた)
 

次に巷の意見。
⑤巷ではM42の赤っぽい色が見えたという報告が結構出回っているが、見えた時の機材や空の条件はまちまちのようである。
「私は目が良いので色がよくわかる」という人もいるようだが、そんな人でも色が見えない時があるので、目の良さとは必ずしも相関しないようである。
 
ではHowardの見解
a)色の認識は目のColor sensing cones(錐体細胞)で行うが、M42に限らずどの星雲もColor-sensing conesが働くのに充分な明るさではない。
b)光が蓄積されたカラー写真に見慣れた我々はUnconscious bias(先入観が無意識に働くこと)が作用し、色が見えたように感じる。
特に光が少ない時には上記Unconscious biasの影響が大きい。
c)HuygensRegionの青緑色が明るく鮮やかであるので、それを観ることでContrast Effectにより周囲に補色の赤色が見えることがある。
d)彼は2015年、星の観察中に偶然iPhoneの画面を見てしまい、その後に望遠鏡を覗いたら2か所のオレンジーピンクのエリアがあることがわかったとのこと。暗順応とともに色は消えていったが。(2か所とはBrightBarの)端とOrion Sのあたり)
e)上記の出来事は再現性があった。
f)色を認識するなら直視! ベテランの観察者が得意なそらし眼は有効ではない。

結論 
私の経験とHowardの経験は似ていますよね。
眼を暗順応させると色を見分ける力が無くなるので、暗順応させず、星雲の明るい部分を凝視せず、思い込みを捨てて観ると色が見えてくるようです。

これについては双望会で試してみたいと思っています。