これからお届けする話はフィクションです。でも出てくる天体は実存しますので、良かったら望遠鏡でご覧ください。
コーチ:皆さん、こんばんは。
少女B:こーちは車で来たの?これベーエムベーだよね?
コーチ:ベーエムベー??あっ、そうか。1980年代はドイツ語読みが主流だったよな。でも今は英語でビーエムダブリュという人が多いね。
少年A:エンジンはミルキーシックス?
コーチ:みんな詳しいなあ。でもエンジンはミルキーじゃなくてシルキーシックス。絹のように滑らかに吹け上がるんだ。
少年C:えっ?滑らかに老ける?つるっぱげになるってこと??
コーチ:(Cの意見は無視して)では今日の本題であるスケッチの話をしましょう。まずはこれっ。ジャーン!!
少年D:ジャーンって、口で言ってる!いまどきジャーンなんて言わないよね。
少女B:こーち、キレイ。これはスケッチ??
少年A:すっげー、めちゃめちゃリアル!! で、これって何??
コーチ:これはりゅう座トリプレットと言われる銀河だよ。りゅう座イオタ星からシータ星の方に望遠鏡を振って手当たり次第に探すと見つかるんだ。
少女A:導入方法がよくわからないけど、、。ところでいつ描いたの?
コーチ:昨夜ですよ。3時間くらいかかりました。
少女B:こーちぃ、ゆうべは曇っていましたよ。
コーチ:写真を見ながらこたつに入ってぬくぬくと、、。天体のスケッチを部屋の中で描くっていうのは楽でいいよね
少女B:えっ??
コーチ:美術の世界では、有名な画家が描いた作品を模倣することにより学ぶという方法があるだろ? 先日行ったメトロポリタン美術館でも5歳くらいの女の子がフロアに座り込んでママにクリスマスプレゼントで買ってもらった60色の色鉛筆を使ってフェルメールの油絵を「私、このひとのブルーが大好き!」なんて言いながらスケッチしてたよ。それを見ながら微笑んでいるSOHOで購入したと思われる派手なドレスを着た母親がかっこよかった。やっぱNYは最高だぜ。
少年A:またNYネタだー。10年前に1回だけツアーで行き、美術館にも日本語の解説を聴きながら2時間滞在しただけなのに、、。
少女B:ママが天文って忍耐だって言ってけど、こたつだなんて、、。藤井旭さんの「天体写真の写し方」のガイド撮影のページに載ってた、リュックを背負い、地面にあぐらをかいて屈折望遠鏡で捉えたガイド星を見ながらひたすら手動で追尾して反射望遠鏡による直焦点撮影を行っているおじさん(古田氏だったっけ?)が私の天体観測のイメージなんだけど。
少年C:Bちゃん、凄いの知っているね。しかも長文を滑舌よくしゃべるなあ。utoさんも野外でスケッチした後は自宅では殆どいじらない(修正しない)って言ってたよ。自宅で天体を観ずに仕上げると写真から得られた先入観がのっかっちゃうから嫌なんだそうな。
コーチ:でも手軽にSNSとかでいいねを貰うには写真をじっくり見てスケッチするのも良いと思うよ。やっている人、結構いるみたい、、。写真は地球の自転で動いていかないし、雲や気流の影響も受けない、、。星だけ星図ソフトから印刷し、その上に現地で星雲のスケッチを描く人もいるようだね。そもそも我々がやっているのは趣味の世界だから、正論なんて無いんだ。
少年A:僕は天体鑑賞スクールのメンバーだから、スクールとしての正論があった方が学びやすいです。
コーチ:ここではみんなにウケるのが正論さ。まあ、たいしたスケッチじゃなくてもSNS等のフォロワーは優しく、褒めてくれるので、ある意味何でもよいけどね、、。以前に当スクールで褒め方を教えたでしょ。
C:天体を望遠鏡で見せてもらった時に面白くなくても「凄くシャープですね!」と言うとか、「これってウソじゃないよねっ!」と感動したふりするとか??
コーチ:そうそう。
少年B:コーチ、今回はあんまりコメディっぽくない~
コーチ:別に天体鑑賞スクールはコメディじゃないんだけどな、、。じゃあMちゃんに期待しようか?
少女M:えっ??
少年B:Mちゃん、何してるの??
少女M:もうすぐアイドルグループが来るって聞いたので待ってるの。
少年C:アイドル??
少女M:そう、HSTという名前らしいの。Bちゃんが言ってた。
少年A:HSTはハッブル宇宙望遠鏡の略で、アイドルなんかじゃないぞ~
少女B:えっ、そうなの?AKBが”あきば”、HKTが”はかた”なので、HSTは”はせたに(櫨谷)”の略だと思ってた。
少年C:はせたにってどこだよ?
少女M:知らないの?神戸市にあるんだけど、、。じゃあISSは佐賀県のいしし(石志)に本拠地を置くグループじゃないのね?
少年A:どこまでこじつけるんだよ~。コーチ、いつもの薀蓄は~??
コーチ:はいはい、ではNGC3242を導入して
少年・少女:はーい
少女B:なんだか水色っぽくてもやっとしているー
コーチ:そうです。これがCBS EYE、、。 久々のお目々シリーズです。
少年A:CBSって何の略なの?“ちょっと ばーさん すてきだね!”とか?
少年B:違うよ、“ちいさい バケツに入った しびれるもの”だよね?!
コーチ:CBSはColumbia Broadcast Systemの略で現在の米国CBS放送のことです。この放送局のロゴはNGC3242にそっくりですね。90年前、この星雲を望遠鏡で観た米国のお金持ちがCBS放送を作ったようです。
少年B:ほんとかよ、僕が生まれる前の話だし、、。
少女A:ウソに決まってるでしょ。この星雲、木星状星雲とも言われるらしいね。体調を壊して青白い顔をしている木星みたい。
コーチ:だからスケッチはこたつの上で描くのが良いんだよ。風邪ひかないから、、。
(おしまい)
過去10回の天体鑑賞スクールもご照覧ください。文字化けするかも知れませんが、、。
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