さて今回は望遠鏡を上から見た時の接眼部の左右方向変位について考察します。
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上の図が示すように接眼部の横方向変位はYawingという専門的には上下方向軸(Z軸)周りの回転運動が支配的です。
鏡筒~架台の結合方法は様々ですが、仮に下の図のようにボルト2本で繋がっているとしましょう。
このような方法はレアかも知れませんが、あんまり器材を特定するようなことはしたくないので一般的な構造結合様式を例にします。
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上図に示しているようにボルト結合部は隙間がたくさんあります。
例えばボルトとボルト穴の間。
この隙間が無ければボルトを穴に刺すことができませんので隙間があって当然ですが、航空機等の高い強度が必要なものと異なり隙間はかなり大きいです。
(航空機で高い強度が必要なところは結構高価で特別な結合方式を採用して隙間を極限まで減らしています。)

隙間があってもボルトの強い締め付け力により架台と鏡筒の結合力は保たれます。でもこれはボルト近傍の話。ボルトから遠い架台の端はボルトの締め付け力が届かないので、やはり隙間が生じています。

ボルトは大きいほど締め付け力が高いのですが、天体望遠鏡に使用されるボルトやネジ類は、望遠鏡よりも軽いカメラと同じくらいのものが多く、締め付け力が充分とは言えないものがあります。
そういったものは架台と鏡筒の間に隙間が発生しやすく振動の原因となります。
ボルトと穴の間の隙間は眼部の横方向変位に関連しないように思えますが、この隙間がボルトの緩み=締め付け力の低下につながります。

また、充分な締め付け力がある場合でも、長期間上図のオレンジの矢印のような力が加えられるとボルトが緩み、締め付け力が低下します。
そしてその場合も振動が発生してしまうのです。

組立式望遠鏡を自作された方が、私が自分のドブソニアンを30~40分もかけて組み立てている様子を見て、よく指摘してきました。
「utoさんのは組立に時間がかかるなあ。私のはワンタッチで取り付けられる結合方式なので簡単だよ」
でも私は指摘を採用しませんでした。ワンタッチで取り付けられるのは時間をかけてボルトやネジを締め上げるものに比べて隙間が多く、剛性の低下を招きやすいからなのです。

まお、ボルト結合方式が悪いと言っているのではありません。
ボルトが緩むと振動しやすくなるよ!と言いたいのです。
ボルトが緩み難くなる方法は色々あるので後日紹介します。