以前に一部の方に好評だった昆虫の構造力学第2弾をお送りします。
前回はアゲハチョウのサナギでしたが今回はトンボです。

この写真は福島で撮影したのですが、最初にこの姿を見た時、何て美しいんだろうと思いました。
絶妙なバランス。構造屋が最も安心する構図です。
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トンボの重量中心は羽の付け根近傍にあります。そこに重心がなければ飛行中に回転してしまいますからね。
重量は下向きに作用しますが、つかまっている棒は重心から水平距離L1だけ離れたところにありますからトンボは下に向かって落ちようとするだけでなく、回転Mweighというも作用します。

落ちちゃうと困りますからトンボは棒につかまるのですが、そのつかまり方が合理的!
6本の脚を棒の2か所に分けてつかまっています。その2か所の距離が離れているほど足にかかるLeg Forceが小さくなりますからL2を大きくとっています。
また、足が押されるより引っ張られる方が厳しい(胴体から足が外れる恐れがある)ので、引っ張られる上方側は4本の脚でつかまっていますね。

それから足が伸び切っちゃうと力が出ないし、痛める危険もあるので関節を曲げて余裕を持っています。

羽は前方に向かっていますが、これは前方からの風を受けた場合に重量とは逆向きのMwindというモーメントを発生させて脚の負担を減らそうという魂胆ですね。
後方からの風は受け流すようにしており、側方からの風は対処が難しいので自らが回転して前方からの風にしてしまうか飛んで行っちゃうんじゃないかな?

望遠鏡屋さんも機材の重心をよく考慮して構造的に美しいものを作って欲しいです。