6cmマクストフ・カセグレンのMAKSY60には3つの特許が示されています。
・雲台ボール部の材質と固定方法(先日紹介済み)
・鏡筒内部を見ることができるカバー
・簡単にスマホでコリメート撮影ができるディバイス
鏡筒内部が見れるというのは、教育的、整備的な観点でとても有効ですね。
でも大きな開口部を設けると鏡筒が撓んだりねじれたりする可能性が出てきます。
鏡筒が撓むと見え味が落ちるだけでなく、高倍率での観察にも支障がありますからね(接眼部を持って天体を追いかけようとしても撓んでいる分だけ余計に動かさなければ鏡筒が動かない)。
これについて開発者は開口部の位置や形状および筒の板厚をしっかり検討しているようで撓みは全くありませんでした。
また、接眼部に重いアイピースやスマホを取り付けると、重量バランスが崩れますよね。
そういうことも考慮した上で、スマホを取り付けるディバイスを開発していると思います。
やっぱり短くて焦点筒が伸びないカセグレンはこういったことに有利です。
話が変わりますが、MAKSY60の姉妹機であるニュートン式5cm反射のNEWTONYもバランスが崩れない工夫があるのです。
ニュートン式反射望遠鏡の多くは横もしくは斜め上から覗きますよね。
上から覗くのってたとえ卓上用の小型望遠鏡でも結構大変なんです(座ったまま覗けない)。
それにもかかわらずNEWTONYは接眼部が上に付いています。
理由は接眼部の重量によるねじりモーメントの排除。
小さい望遠鏡だと架台や鏡筒が華奢なのでアイピースの重量による影響がバカになりません。アイピースが横又は斜めに付いている場合、特にアイピースを繰り出した状態で下の右図にあるように大きなねじりモーメントが作用します。
一方、下の左図にあるように接眼部が真上にある場合はねじりモーメントが発生しません。
こういったところもよく考えてあると思います。
因みに私の5cm反射も接眼部は鏡筒の上部にあります。
だらだらと書きましたが、MAKSY60の開発者(Acuter?Synta 社? Sky-Watcher社の人?)は特許取得に際し、実用性を入念に検討しているようですね。
特に今回紹介した2つの特許を望遠鏡に付帯しても安定した天体観察ができるだけの性能を維持するための取り組み、、。素晴らしいと思います。
この会社のモットーはWith ambitions to make the highest quality optics at a affordable price
いいですねえ。
国立天文台が企画、設計、製造までの全工程をプロデュースして作ったご自慢の”高性能”望遠鏡が、50mmF8の2枚玉アクロで、しかもアイピースの一つがハイゲンスだと知り凍り付きました。
半世紀前から全く進歩していないように感じられます。(私見です)
天頂ミラーも三脚もなしで5000円オーバーですから決して安いとは言えないし。(これに三脚と天頂ミラー、スマホアダプターを付けるとMAKSY60の価格に近づくと思います)
天文の普及を考えるのなら日本のメーカー、天文関係の学者や普及活動を行っている人たちが、MAKSY60に負けないような画期的な製品を生み出す必要がありませんか?
少し前にNHKが放送していた「タカハシが米国でウケている」という過去の栄光にすがらずWith ambitions(野心を持って)取り組んで欲しい。
拡販する為の企画にばかり傾注しないでもっとベーシックなモノづくりを大切にしてもらいたい。
そういった意味を込めてこれまでの一連のMAKSY60に関するレポートを書きました。
次回がMAKSY60に関するレポートの最終回です。
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