私の電視観望はベテランの人に比べて2~3周の周回遅れなので、今回のレポート内容は既知なのかもしれませんが、私の備忘録として紹介します。

連日の快晴で、東側の窓から夜半過ぎまでに見ることができる(見栄えがする)11等級より明るい天体の電視観望が概ね終わりました(興味深い天体についてはこれから少しずつ紹介しますね)。

昨夜は透明度がとてつもなく悪くてアークトゥルスですら一瞬見失うほどでしたが、明るいカメラレンズによる近赤外電視観望を試してみました。

用いたのは45年ほど前に父が購入したニッコール50mmF1.4です。ニコンF2の標準装備品で当時3万5千円していました。
これにIR640 ProフィルタとASI462MCと取り付けた電視観望の様子がこれ↓
IMG_4625
フードが大きいのですが標準レンズの50mmです。
レンズを2.8に絞ってかに座のM67散開星団を写したものがこれです
m67_50f28
星団を構成する星の一つ一つが綺麗に分離しており、星像も端の方まで悪くないですよね。
参考として焦点距離が4倍の金コート5cmによる写真も載せておきますね。
M67gold

さて、これからが本題です。
IR640 Proフィルタを外した写真は
m67_50f28n
絞りは同じく2.8です。
色収差の問題でしょうか、星の周りにㇵロが盛大に出ていますよね。かなり見苦しいです。

フィルタ1枚の有無で劇的に変わっていますよね。まあ、色が出なくなるので嫌な人もいらっしゃるとは思いますが、私は眼視派で基本的にモノクロの世界の方が好きなんです。

フィルタ有りで銀河も狙ってみました。しし座トリプレット(M65/M66/NGC3628)です。
m65-66_50f28
こんなに短いレンズでそれぞれの形がわかるほど写っていますよね。
凄いです。まあ、フルサイズ300mmオーバー相当ですけど、、。

次はマルカリアンチェーン付近
marc_50f14
写真を触って拡大してご覧ください。
小さな銀河がたくさん写っていますよね。(ズームやトリミングはしていません)

実はこの写真、絞りF1.4開放なのですよ。
像が少し眠く、ソフトフィルタを着けたような感じですが、隅の方でもほとんど崩れていませんよね。
周辺減光もそれほど目立たずいい感じです。

F2.8まで絞るとこうなります。
marc_50f28
やっぱりこっちの方がシャープですが、F1.4だと僅か2秒の露出で銀河が見えてきます(逆に5秒では露出オーバーで使えない)から手軽ですよね。

色が必要でない対象には絞り開放でも充分ではないでしょうか?
というか、ニコンの技術力の高さが伺えますよね。

絞りの差は見比べるとよく判ります。
下の写真はへびつかい座の散開星団IC4665付近をトリミングしたものです。
IC4665_Comp
露出時間が合っていないので明るさの違いがあるものの、星像の大きさの差が顕著ですね。
特にF5.6はStackを増やすと美しいものになると思います。

ともあれ、死蔵している古いレンズをもう一度見直してみませんか?