Star Party等で「この望遠鏡はどれだけ遠くまで見ることができますか?」という 質問を受けることがありますよね。そんな時、「天体の明るさによります。」なんて 言っちゃうと話がそこで終わっちゃいます。ですから何か紹介したい、、。

Deep Sky Wonderでお馴染みのSue Frenchによると、PG 1634+706というクエーサーが最遠天体の候補の一つとのことです(少し古い記事ですが)。
PG1634+706a

この天体は14.4等ですけど恒星状なので、25cmクラスでも見ることができると思います(電視観望でしたら5cmでも大丈夫でしょう)。りゅう座の15番星近くに位置し、年中観察可能ですので お奨めです。私も45cmで楽に捉えることができました。

地球上の我々が観ているのはこのクエーサーから86億年前に出てきた光だそうですが、当クエーサーは1秒間に約20万キロ遠ざかっています。この速度は光の速度の2/3。
ですから今は126億光年先に進んでいるとのことです。
ちょっと計算が合いませんが面白いですね。


先日紹介したGalaxy Trios and Triple Systemsに掲載されている大熊座のダブル・クエーサーQ 0957+561A/Bを2か月くらい前の透明度の良い時に5cmで探していました。
星像が綺麗で気持ちが良い!!NGC3079の近くのPGC28990銀河は14.8等級の渦巻き銀河です。
でもクエーサーの存在は確認できませんでした。空の良い時に再チャレンジしようと思います。
n3079a

さて、このダブルクエーサーに関する蘊蓄を一つ、、。

この天体は、テキサス・スター・パーティのチャレンジング・オブジェクトにもなっています (18inchでも見えるそうです。未だ私は確認できておりませんが)。
距離は78億光年で、宇宙の果てまでの3分の2です。2つのクエーサーは全く同じ形をしており、 一つが変化すると417日遅れてもう一つが変わります。つまり実際は一つのクエーサーから放たれた 光が我々との間にある強い重力を持つ銀河(重力レンズ)によって多重のイメージに分解され その一つが他よりも遅れて地球に到着しているようです。面白い現象ですね。
それにしてもアマチュアの望遠鏡では点にしか見えない天体の変化を捉えているなんてプロの天文学者は凄いです。


クエーサーの中でアマチュアが最も捉えやすいのはおとめ座の3C273ですね。距離は20億光年。遠ざかる速度は45,000km/secです。
3c273

12等級後半なので、SQM20程度の岐阜の自宅で25cmでも楽に確認できました。はじめて見たのは1990年代で、明るかった冥王星も眼視で余裕だったことを覚えています。
 

クエーサーというと一部のマニアの間ではアンドロメダ・パラシュートやアインシュタインクロスが有名ですが、上記3つよりは難易度が高いです。

アンドロメダ・パラシュートは全てを分離するのはかなり困難なようです。
以下が2017年のAlvinのレポートですが、透明度・シーイングの良い状態でも22inch 690倍でもすべてを確認するのは難しかったようですね。

July 22, 2017 - I went up to one of our favorite high-altitude sites at about 7,600 feet elevation with my 22" reflector with an observing buddy. At 690x, it immediately appeared as an elongated star, but when the seeing steadied, it popped into two individual points (A & B only). I was not able to repeat seeing C (saw it only once), so not confirmed.  I most certainly did not see component D.
My observing buddy confirmed that he saw the elongated star in the same orientation as I saw it, but he did not split the “star”.  

アインシュタインクロス、私は45cmで2回ほどチャレンジしましたが、中央の15等級であるCGCG 378-15しか見えたことがありません。これも難しそうですね。