島根大学の教授がとても興味深い研究ノートをリリースされたと地域のボランティアに熱心な知り合いの方から伺いました。
タイトルはこれ↓
「理科教育における,STEAM 教育教材としての電視観望技術の実践的活用 - Plate Solving 技術とCMOS カメラを活用した天体観望の運用 -」
これはネットで閲覧可能です(29ページにも及びますが読みやすいです。もちろん日本語ですし)。

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著者は「教員に, どこにどんな天体があるかとか, どうすれば天体を導入し観望できるのかという知識がなく, 専門家を招聘しなければ天体観望の機会を生徒に提供できない」という課題を挙げ、それを解決する手段としての電視観望技術(方法、主な機材名やそれらの価格)を詳細に紹介しており、教育者でない方にとっても大変興味深い内容となっています。(教育関係の国立大教授にしては内容が細かすぎるな!と思って調べてみたらさじアストロパークの支援があったようです。)

そして研究ノートの終盤には実際に行った観望会の様子やアンケート結果が示されており、PlateSolvingを使えば前述の教員の知識不足や天体導入技術の無さを補完できるとのことでした。しかもテクノロジーに興味がある子ども達が, 私たち大人が想定するより多くいたという事実も得られたようです。
このことは経産省が最近掲げているSTEAM教育に結びつくということで大きな手ごたえを感じられておりました。
因みにSTEAMの中のTという文字はTechnologyの頭文字です。

では経産省が掲げるSTEAM教育とは何だ??という疑問が出てきますよね。
以下は経産省のホームページから引用したものです。
Steamライブラリー

現代の世界共通の教育キーワードの一つが「STEAM(Science(科学),Technology(技術),Engineering(工学), Arts(人文社会・芸術・デザイン等) and Mathematics(数学))。
電視観望は天文というScienceの分野にTechnologyやEngineeringを採り入れたものですから島根大学の教授がおっしゃるようにSTEAM教育に間違いなく結びついています。

また、STEAMとは、ワクワクを起点に「創る」⇄「知る」が循環する学びを実現することですから、はやぶさの活躍や皆既月食・電視観望等で美しい宇宙の姿を見てワクワクした学生がいろんな学びを通してAIと第四次産業革命の世紀に価値を生み出す力を養ってくれると良いですね。


加えてSTEAMという教育ワードは、工業化社会での均質な労働力輩出に適合した「教科タテ割りの、詰め込み勉強」から、 人がAIと第四次産業革命の世紀に価値を生み出す力を養う「学際研究的で、創造的な学び」へとシフトさせていく考え方のことだそうですが、これを教育現場に丸投げしても大変過ぎてうまくいきませんよね。ですから民間事業者や高校、大学、研究機関などが連携するという方針が出されています。
しかし天文という分野は民間事業者や研究機関の規模が大変小さく、特に電視観望に関しては機材・ソフトウェアのメーカーが国内にないこともあって、最も慣れ親しんでいる我々アマチュアの支援も必要だと思います。

ですから、、。
さあ、立ち上がれ、アマチュア諸君!!(上から目線すみません)。
天体観察会を行う場合にはSTEAMを意識してみませんか?
天文という素晴らしい趣味のことだけでなく、子供たちが将来天文に限らず様々な価値を生み出すようなきっかけづくりをやりましょうよ。

こんなこと言われなくても既にやってるよ!という声もあるでしょうが、私からこれだけは言わせてください。
どうか安易に電視観望一本に絞らないで下さい。
これまでの教育指針によって教育機関が導入した数々の眼視観察用の機材(望遠鏡、双眼鏡)を死蔵させず、こういったものも有効活用させてください。
手動導入って立派なエンジニアリングだし、天体の座標や動きを意識して行えば数学も必要でSTAEMに直結するのです。

経産省の取り組みも始まったばかり、、。今後試行錯誤を繰り返して行くと思われますので、老いも若きも大いに語っていきましょう。
経産省や文科省から指示を受けている研究機関や事業者からSTEAM教育に関する取り組みの話も聞かせて欲しいな、、。

まとまりのない文章、失礼しました。