今回は鏡筒を横から観た時の主鏡ボックスに関する力の釣り合いについて考察します。

下の図はドライブシャフトで主鏡ボックスを後方に動かそうとした際の外力(負荷荷重)を示しています。
fig1

この後方(AFT)向きの赤い矢印で示される水平力は主鏡ボックスの重心位置から上方にオフセットしていますので、主鏡ボックスが下の図のように上方が後ろに倒れるような挙動をします。
fig2

主鏡ボックス下側には、前後の移動が容易になるようにテフロンを装着していますが、ボックスの角が鏡筒に当たり、荷重の集中(Concentration)が発生する為、移動できずに引っかかってしまいます。

その対策として設けたのがこれ
fig3
主鏡ボックス上部にはドライブシャフトが外れないようなストッパーを兼ねた鉛直方向荷重を受けるもの(Stopper&Vertical Support)を設けました。

この構造部品は上下、左右方向の荷重を受けてはならないので下の写真のようにテフロンチップ又は
細い棒にしています。(細い棒は軸方向以外の剛性が極端に低いので、、。)

これらテフロンチップと細い棒は鏡筒パネルに触れる寸前の高さにしてドライブシャフトを回した瞬間に鉛直方向荷重を受けられるようにしています。
IMG_4815

また、主鏡ボックスの下部に設けたテフロンと接する部分にはスコッチテープを貼付しています。
ドブソニアンやクレイフォード接眼部の摩擦については以前に私のホームページで検討していますので、ここを参照ください。
ドブの動き改善を目論んでおられる方の参考になると思います。
Dobsonian Motion - 観望-大口径ドブソニアン (ccnw.ne.jp)


この鉛直サポートが受ける鉛直荷重により鏡筒のパネルが押し上げられます。
この望遠鏡は薄いバルサ板を用いていますので比較的容易に変形しますが、その程度が大きいとドライブシャフトと鏡筒パネルの間にギャップができ、ドライブシャフトが充分に主鏡ボックスに押し付けられず空回りする現象が生じてしまいます。

fig4

今はまだ、上部パネルを接着していないので変形量を把握できませんが、鏡筒パネルの変形は同じ板厚の場合、ざっくり言って長さの3乗に比例するので、既に成立している5cmF4反射の接眼部に比べて約2倍の長さがある今回の鏡筒パネルは8倍変形が大きくなりそうです。
もしこれが許容できない(Drive Shaftが空回りする)場合はパネルの板厚を2倍にすれば成り立つ筈です。(変形は板厚の3乗に反比例するので)